上海蟹食べたい

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ほとんど秒速5センチメートルだけの印象で書く新海誠について

 

「映画好き」を自称している僕ですが、昨日ようやく「秒速5センチメートル」を見ました。

なぜ2007年の映画を9年越しの今見たかというと、やはり今公開している「君の名は。」の評判がすこぶる良いからです。見た感想を先に言ってしまうと、はっきり言って超面白かったです。うーん、でも若い俺なら楽しめなかったかもな…なんて映画でした。


「秒速5センチメートル」予告編 HD版 (5 Centimeters per Second)

秒速5センチメートル」のストーリー自体に真新しさは無い

はっきり言って、秒速5センチメートルのストーリー自体に目新しい部分はありません。

小学校の卒業と同時に離ればなれになった、遠野貴樹と篠原明里。そのとき、二人の間には二人だけの特別な想いが存在していた。しかし、無情にも時だけが過ぎてゆく……。そんな日々を重ねたある日、ついに貴樹は明里に会いに行くことを決意。訪れた約束の日、チラホラと舞う雪がスピードを増し、辺りを白く包んで行った……。

誰もがパッと見でわかることでもありますが、秒速5センチメートルの特筆すべきところは何より「風景描写」です。とにかく、雪が降ってたり海だったり、なんでもない東京の街なかの描写だろうととにかく綺麗なのです。

さて、アニメ映画で綺麗な描写といえば、「ジブリ」です。

じゃあ秒速5センチメートルジブリと違うところから考えてみましょう。そう、それこそ、「なんでもないストーリー」なのです。

秒速5センチメートル」で描かれる「綺麗な風景描写」で物語られるのは、「ちょっと切ないけど、どっかで聞いたことある十代の恋愛事情」と、「疲れたサラリーマンの日常」なのです。ちょっと乱暴な言い方だけど、ざっくり言うとこうです。

でも、綺麗な風景に文学的なモノローグが乗るだけで、不思議と一気に見たこと無い映像になる。アニメと「綺麗な風景描写」「十代の恋愛」みたいな食い合わせは見たこと無いのです。

SFが隠し味になっている

そして急に挟まれるロケットが宇宙に旅立つ「SF要素」。これぞ、なんか頭に引っかかる隠し味としての機能を果たしています。きっと想像ですが、他の新海誠作品もSF要素が含まれているはず。

SF要素が加わったことで、なんか急に現実感が無くなります。それまで現実的だったのに、急にふわふわしたお伽話みたいな、ちょっと現実感から遠ざかる。そこで観客は思い出すのです。「あ、これアニメだ」

その不安定さこそ、新海誠作品の魅力なのです。(多分)

これら、味わったことない要素が不安定に組み合わあさった結果、後年も語り継がれる大監督になったのです。